建設現場の近代経営管理の研究
2017年11月23日
地域経済研究所 阿座上洋吉
建設原価論発信の準備
1.建設現場における経営管理の現状を確認する
建設業の原価計算には、建設業の特有の課題があり、その課題が未解決のまま放置されることが多く、経営管理の技術やノウハウが明快に承継されることが難しい産業である。これが工場生産の経営管理の問題であれば、適正なノウハウできれば直ちに継承されるし進化もするが、建設業界は他の産業に比べてなかなか進まない。
2.建設現場の経営管理者の特性を確認する
建設現場の経営管理の最高責任者は、通常は技術者である現場代理人が担当することが多い。現場代理人は、自然科学の技術的施工管理の知識や経験は多いが、現場の経営管理である社会科学の分野についての知識や経験が不足している。そのため優れた品質の製品の生産には強いが、原価削減等の経営管理には弱い面が多すぎる。
3.近代原価管理の究明
市場経済における企業の強さは、よい品質で他社より安く生産することである。しかし建設業者は、良い品質の生産は当たり前であるが、原価の削減には高度な原価管理の技術の必要性を知らないのである。これは長年実行予算による原価管理のためであり、原価管理は実行予算によって管理するものと思い込んでいるためである。実態は違うのである。
<次回予告>近代原価管理について